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米国ミネルバが開発し、日本国内では株式会社Learner's Learnerが運営するリーダーシップ教育プログラム「Managing Complexity」。実際にプログラムを受講したみなさんは、「Managing Complexity」から何を学び、どのようにビジネスシーンで活用しているのでしょうか。今回は、2022年より受講いただいているLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社にインタビュー。執行役員の野中厚志さん、グローバルオペレーション本部 本部長の村上恵梨子さんにお話を伺いました。

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LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社

執行役員

野中 厚志

 

2018年LINEヤフーコミュニケーションズ(旧LINE Fukuoka)に入社し2024年4月より現職。現在はLINE関連サービスのクリエイティブ・セールス・企画・その他運営業務全体を統括。

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LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社

グローバルオペレーション本部 本部長

村上 恵梨子氏

2020年LINEヤフーコミュニケーションズ(旧LINE Fukuoka)入社し2024年4月より現職。現在はLINE関連サービスの、お客様問い合わせ・審査・モニタリング・翻訳・その他運営支援業務を担当。

事業環境の複雑さが増す今こそ、リーダーから率先してレベルアップを

― まずは、LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社について、ご紹介をお願いします。

野中:私たちLINEヤフーコミュニケーションズは、「LINE」「Yahoo! JAPAN」といったLINEヤフーグループのサービスの運営業務を行なっている企業です。2023年10月1日のグループ再編に伴い、LINE Fukuoka株式会社とヤフー株式会社のカスタマーサポート部門が統合して誕生しています。

― 御社がリーダー層の育成プログラムとして「Managing Complexity」を採用した背景を教えてください。

野中:当社では、組織が統合する1年前の2022年秋からプログラムの受講を開始しています。背景にあるのは、どの業界もそうだと思いますが、ビジネスを取り巻く環境の変化が大きいと思います。弊社もLINE株式会社(以下LINE)とヤフー株式会社(以下ヤフー)の経営統合がありました。両サービスのシナジーを拡大していくためのグループ再編が発表され、私たちの環境もこれから大きく変わっていく予感がしていました。関係者が増える分、マネジメントやプロジェクト推進の難易度も飛躍的に上がる。従来のやり方が通用しない不確実性の高い世界が近い将来やって来ると見えていたからこそ、リーダーの進化が必要だったんです。

― 会社が大きく変わるタイミングだったことがきっかけなのですね。一方で、個人としてはどのような思いでプログラムに参加しましたか。

村上:野中が言うように、これまでとは同じようにはいかなくなる予感がしていて、来るべき未来に備えたい気持ちがありました。例えばこれまではLINEというサービス単体で最適・最善を無邪気に追求すれば良かったものが、ヤフーと一緒により良いサービスを目指していくにあたっては、「LINEとしてのベスト」が「LINEヤフーとしてのベスト」とは限らないこともあるはずだからです。また、せっかく学ぶなら社内に閉じた場ではなく、社外に出て他社のみなさんからも刺激を受けながら学びたかったので、「Managing Complexity」は良い機会だと思いました。

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野中:私も社外接点から学びを得られる絶好のチャンスだと感じました。また、私の場合は、自分で手を挙げて当社第一弾の受講者になったのですが、まずはより経営に近い立場の私が主体的に学ぶ姿勢を見せ、組織全体で主体的にチャンレジしていくムードを高めたい気持ちもありましたね。

授業中は常に頭がフル回転。“脳に汗をかく”感覚を味わえた

― ここからは、実際に受講して感じたことを教えてください。「Managing Complexity」のプログラムのどんな点が印象的でしたか。

村上:毎週のセッション(授業)ごとに視点や思考を切り替えて学んでいくスタイルがユニークだなと思いました。リーダーが身につけるべき知恵や思考法が論理的に明示されているので、普段のマネジメント業務で感覚的にやっていたことを論理的に理解・整理し直すことができたと思います。また、#system-thinking、#power-dynamicsといった「Learning Outcome(L.O.)」が授業に参加しているみんなの共通言語となるので、議論や思考の観点がズレることがあまりなく、テンポ良く効率的に会話が進んでいった印象があります。

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野中:「Fully Active Learning」というスタイルが最大の特徴だと感じました。講義スタイルの授業とは違い、毎週2時間の授業中は受講者同士でディスカッションをしていくのがメイン。授業は完全オンラインですが、「Forum」というシステムによって受講者同士の発言時間が可視化されるから、発言が少なければファカルティ(講師)から発言を促されますし受け身ではいられないんです。常に頭をフル回転させ、脳に汗をかきながら参加していた感覚。とても集中できた分、毎回の学びが濃かったです。

村上:受講者が満遍なく発言するから、必然的に多様な意見を聞くことになるのも良かったです。セッションを重ねるうちに、ファカルティだけでなく受講者同士でも発言を引き出しあうようになっていきました。おかげで普段の業務でもいろんな立場の人から意見を集めて検討するような、アイデアの多様性をより意識するようになりましたね。

 

― 逆に、「ここは大変だった」という点はありますか。

村上:セッション中はほぼディスカッションの時間なので、テーマを理解し自分の意見をしっかり発言するには、事前の予習が欠かせないです。より深い議論をするには、単に資料を読み込むだけでなく、事象の背景にある情報まで主体的に調べていく必要もあるかなと思います。

 

― 「Managing Complexity」はビジネスリーダーに求められる素養を18のコンピテンシーに分類し、体系立てて学んでいきますが、おふたりは特にどのコンピテンシーやセッションが学びになりましたか。

村上:私はセッション8の「アジャイル型イノベーション(#design-thinking #innovative-mindset)」ですね。セッション7までは自分にも経験があることを“型”として学び直す感覚だったのですが、セッション8のデザイン思考やイノベーティブマインドセットは、組織として新たなチャレンジをする際のヒントとして発見が多かったです。PDCAのまわし方や、価値を最大化させる方法として、強く意識するようになりました。

野中:自分の場合は#system-thinking(システム思考)ですね。このプログラムの基礎になる部分ですし、実際のビジネスでの議論もシステム思考ができていないと議論のズレが起こりがちです。特に今、私たちはLINEとヤフー が統合したことで、異なる企業文化・価値観で育ってきた人同士が一緒に仕事をする機会も増えている。複雑性が増している状況下で物事の本質を見極める上では非常に重要なスキルだと感じました。

論理的・多面的に思考を深めながら、関係者と議論しやすくなった

― 10週間のプログラムに参加してみて、仕事上で変化を実感することはありますか。

村上:前提として、受講以前と今では私たちの置かれている環境が大きく異なるので、単純比較は難しいところですね。予想通り、仕事上で巻き込む必要があるステークホルダーは各段に増えましたし、今でもリーダーとしてもっと成長しなければならないと思うことは多いです。ただ、もし「Managing Complexity」を学んでいなかったら、もっと苦戦していただろうなとも感じます。例えば#self-awareness(自己認識力)。カルチャーが異なる人と一緒に仕事をする機会が増えた今、#self-awarenessを学んでいたおかげで、カルチャーの違いを前提に相手からどう見られるかを意識しながら働きかけられるようになった。バックグラウンドの異なる仲間と一緒に良いチームをつくっていく楽しみを見出すことができています。

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野中:自分の過去の経験則だけで物事を判断せず、いろんな人の意思や意見に耳を傾けながら、多面的に判断していくようなプロセスを重視するようになりました。あとは、リーダーとしての“引き出し”が増えたことで心にゆとりができた気がしますね。これは「Managing Complexity」で学んだ、自分の感情やバイアスを客観的に眺めるためのフレームや、相手は何を求めているかを掘り下げるエクササイズが参考になっています。意見が衝突したり、自分の意図が正しく伝わらなかったりしても、感情的に解決するのではなく、論理的に対処をする選択肢が増えたからだと思います。

村上:あとは、社内でも「Managing Complexity」を修了している人同士だとL.O.を使って会話しています。特に野中は私の直属の上司なので、組織の戦略や課題について会話するときも、L.O.をキーワードに出せば視点や論点のすり合わせが素早くできて、話が早い。スピード感を持った組織運営に繋がっていると思います。

プログラム修了後も社内で反復学習を行い、学びを定着

― LINEヤフーコミュニケーションズでは、プログラムの修了生が任意で集まり、L.O.を活用してディスカッションする場を設けているそうですね。

野中:これは、「Managing Complexity」でも盛んに実践されていた「反復学習(足場式)」や「文脈横断」を、プログラム修了後も継続しているものです。一度学んで終わりではなく、間隔を空けたりテーマを変えたりしながら実践していくことで、知恵を定着させていくことを目的としています。今はあくまでも学習に重きを置き、あえて自社とは直接関係がない事例を演習的に取り上げて議論していますが、いずれは社内の問題解決にも繋げていきたいですね。

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― 今後は、「Managing Complexity」をどのように活用される予定でしょうか。

野中:先行して執行役員、本部長レイヤーで受講をして検証したうえで、2024年度からは部長レイヤーを対象とした学びの機会として本格導入しています。また、次期部長候補を育てていく意味では、若手リーダー層にも「Managing Complexity」のフレームや思考に触れてもらいたいと考えています。

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― 部長レイヤーの学びの機会として本格導入されたのは、どのような理由ですか。

村上:ひとくちに「リーダーシップ」といっても、現場寄りのリーダーシップもあれば、経営寄りのリーダーシップもありますよね。部長に求められるのはちょうど中間くらい。逆に言えば、現場で起きている細かな事象も、経営課題に近いイシューもどちらにもバランス良く触れているのが部長ですから、このレイヤーがリーダーシップを学び直すタイミングとしては、最適だと感じます。また、バックグラウンドが異なる他社の受講生の立場を想像・理解しながら有意義な議論をしてほしいという意味でも、当社は部長にフォーカスしています。

 

― 最後に、もし他社に「Managing Complexity」をおすすめするとしたら、どんな企業・どんなリーダーにすすめたいですか。

 

村上:マーケット環境が大きく変わろうとしている業種や、事業・組織変革の過渡期にある企業のリーダーにはおすすめしたいですね。おそらくそうした企業の場合は、組織統合を経験した私たちのように、これまでの成功体験が通用しない場面が増えているはずですから。

 

野中:これから組織に変化を起こしていきたい企業にもおすすめしたいです。「変わりたいけれど、変われない(何をしたら良いのか分からない)」という課題をお持ちだとしたら、そこでリーダーが取るべき思考や行動のヒントにもなると思います。

 

村上:あとは、「なんとなくやれている」リーダーにもすすめたいです。日常の仕事の中では、リーダーシップをロジカルに考える機会や時間はなかなかないはずですから、どうしても自分の感覚や過去の成功体験に頼ってしまいがち。それが足枷となって変化に対応できないような課題を感じている人がいたら、受講してみると良いと思いました。

 

野中:リーダーシップって組織に人が集まって協働をする限り必要不可欠なスキルだと思うんです。だから、究極的にはあらゆる企業・リーダーで絶えず学び続ける必要があるテーマが「Managing Complexity」には詰まっていると思います。

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2024年11月

Case 04

LINEヤフーコミュニケーションズ株式会社  野中様 × 村上様

LINE Fukuokaとヤフーカスタマーサポート部門が統合。

大きな変革のタイミングで、

リーダーシップの学び直しができた。

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