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自治体初の挑戦と成果:長崎県×リーダーシップ強化

2023年に全国で初めて自治体としてManaging Complexityを導入した長崎県。この取り組みの背景と成果について、長崎県とともに起業支援を担当する株式会社サイノウの村上氏にお話を伺いました。

長崎県にリーダーシッププログラムを提案した経緯について教えてください。

村上氏:長崎県は10年後のありたい姿とその実現に向けた施策の方向性として「未来大国」というビジョンを掲げています。目覚ましい速さで進む技術革新やグローバル化、多様な社会課題の中で、激化する競争を勝ち抜いていくために、今後重点的に注力する分野を定め、新しい県づくりを推進しています。

県内には既に長崎の持つ多種多様で豊富な資源や環境の中で、様々な産業をもたらしている起業家、事業家、事業承継者が活躍されていて、そういった方々とともに我々支援側も含め、県全体が一緒に内部的発展をしていくための取り組みとして、リーダーシッププログラムを導入することを決定しました。

Managing Complexityが導入された理由は何だと思いますか?

村上氏:前述のような中で、離島を含む長崎県全域から参加できる環境であることは重要なポイントでした。対象者の事業規模もフェーズも様々なため、扱うテーマに網羅性があること(システム思考、行動科学とモチベーション理論、パーパス型リーダーシップ、感情の知能指数(EQ))や、すぐに実践に移せるという点が導入の理由です。長崎県が県内企業に対して参加費の一部を負担する(※)形で導入が実現しました。

※期間限定です。

実際にMCを導入してみて、どのような変化がありましたか?

村上氏:完全オンラインということも手助けし、地域を選ばず長崎県全域からメンバーが集まり、23年11月から24年1月にかけてプログラムを実施しました。プログラム全体を通じて、受講者の表情が明るくなっていくのが印象的でした。これは学びの内容を理解し、実践する中で自信を深めた結果だと思います。オンラインなのを多少危惧していましたが、ミネルバ独自のオンラインシステムの効果もあり、対面で開催するより活発なディスカッションが行われていたと思います。

 

さらに受講者同士が自発的に地元コミュニティとしてリアルで結びつき始めています。これがうねりとなり、一つのロールモデルとしてエコシステムへと繋げていきたいと考えます。令和6年度もMCを長崎県と協力して継続実施する予定です。

プログラムを受けた方々の感想はいかがだったのでしょうか。

3名の受講者からの声を紹介します。それぞれに必要な学びを受け取って実践されていると感じています。

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MCを受講していた日々を振り返ると、答えがない議論の中で意見をぶつけ合うのに必死でした。職場は体育会系でトップダウンの文化が強く、ロジックで考える習慣がなく、ビジネススキルを学ぶ機会もほとんどなかったため、自分にとっては挑戦でした。

MCで学んだことでリーダーシップスタイルが確実に変わりました。関係に上下を作ることから脱却し、チームとして一緒に答えを探すスタイルに変えることを意識するように。後輩に共感を示しながら仕事を進めることで、「坂本さんは相談しやすい」と言われることが増え、変化を感じています。

その1 坂本さん

~トップダウン文化に新風を吹かせる。他人を信じ協働できるように~

NCC長崎文化放送 坂本さん

MCを通じて世の中の複雑性を理解し、他人を信用して協働する姿勢が身につきました。いい意味で自分の脳を信じなくなったとも言えます。社内でも受講者を増やすことで共通言語を持つ仲間を増やし、さらなる革命を起こしていきたいです。

その2 松本さん

~脳に汗をかく体験で思考がクリアに。法律文章の理解が深まった~

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株式会社チョープロ 松本さん

Managing Complexityの学びは、現在の仕事における重要な指針となっています。「こんなに脳が汗をかくことを今まで知らなかった」と感じました。10週間の学びで、断片的な知識を体系的に整理し、明確に伝える能力が向上しました。

10週間で特に印象に残っているのは、「System Decomposition(システム分解)」の学びです。以前はとりとめもなく考えていたことを、登場人物の洗い出し、ズームイン・ズームアウトで思考する手法を学ぶことで、視界が大きく広がりました。

さらに、思考の解像度が上がったことで、法律の文章を読めるようになったことも大きな収穫です。私の業界ではエネルギー関連の規制など難しい法律の文章に対峙することが多いのですが、その読解力が向上し、文章が伝えている内容を分解して理解する能力が身につきました。まるでピントが合うように、内容が明確に見えるようになったので驚いています。

6月からは新規事業を手掛ける部署へ異動し、MCの最終課題で描いていたゴールを具体化する場が整いました。評価制度にも手を入れて進めていく予定です。

その3 内田さん 

~自分のバイアスを知り、人の行動の背景を想像する力が身についた~​

MCは、科学的根拠に基づく説得力のあるプログラムでした。リーダーシップ研修ではよく聞く「結局はコミュニケーション」という結論に疑問を感じていた私にとって、MCのアプローチは新鮮でした。システム思考やシステム分解の概念を学び、多角的な視点を持つことの重要性を理解しました。

特に、感情コントロールに対する新たな理解と取り組み方を得ることができました。以前は感情に振り回されやすく、特にストレスやプレッシャーがかかる状況では、冷静さを保つのが難しいと感じていました。しかし、MCでは自分のバイアスに気づくことや他者に共感を示すことが強調され、自分の感情を客観的に見つめ直すことを毎回のケーススタディやディスカッションを通じて体得することができました。

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オーシャンソリューションテクノロジー株式会社 内田さん

最も頭に残っているのは「相手にも、そうさせている理由がある」というキーワード。これまでは相手の不可解な行動もすべて、自分のものさしでジャッジしていたことに気づかされました。MCで扱っている内容はすべて科学的根拠や十分な研究がベースにあるため、これまでの自分の価値観にメスを入れやすかったです。一度立ち止まり、全体を俯瞰してみる、自分の感情にラベルを付ける、ということを日常の中で活かせるようになったと実感しています。

管理職になると仕事の仕方について指摘してもらえる機会が減るので、このように自分の弱さに正面から向き合えるような時間は貴重でした。一緒に受講した方々はみな志が高く、定期的に集まれる仲になっている点でもいい刺激を得られる経験でした。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

村上氏:MCの導入によって、長崎県のリーダー育成とエコシステムに向けた新たな一歩が踏み出されました。この取り組みがさらに広がり、我々も含む多くの人々や企業の成長と地域の内部的発展に繋がることを期待しています。今後も継続的にMCを実施し、地域全体のリーダーシップを強化していきたいと思います。

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(編集後記)

長崎県のMC導入は、地域の課題解決に向けた新たな取り組みとして注目されています。

これからもその成果が期待されるところです。

長崎の港

2024年7月

Case 03

長崎県×株式会社サイノウ

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