実際にMCを導入してみて、どのような変化がありましたか?
村上氏:長崎県全域から事業規模もフェーズも様々なメンバーが集まり、23年11月から24年1月にかけてプログラムを実施しました。プログラム全体を通じて、受講者の表情が明るくなっていくのが印象的でした。これは学びの内容を理解し、実践する中で自信を深めた結果だと思います。オンラインなのを多少危惧していましたが、ミネルバ独自のシステムの効果もあり、対面で開催するより活発なディスカッションが行われていたと思います。さらに受講者同士が地元コミュニティとしてリアルで結びつき始めたのは嬉しい誤算でした。これが一つのうねりとなり、今後の地域活性化に繋がることを期待しています。実施の結果が良好だったので、来年度もMCを継続して実施する予定です。
プログラムを受けた方々の感想はいかがだったのでしょうか。
3名の受講者からいただいた声を紹介します。それぞれに必要な学びを受け取って実践されていると感じています。
MCを受講していた日々を振り返ると、答えがない議論の中で意見をぶつけ合うのに必死でした。職場は体育会系でトップダウンの文化が強く、ロジックで考える習慣がなく、ビジネススキルを学ぶ機会もほとんどなかったため、自分にとっては挑戦でした。
MCで学んだことでリーダーシップスタイルが確実に変わりました。関係に上下を作ることから脱却し、チームとして一緒に答えを探すスタイルに変えることを意識するように。後輩に共感を示しながら仕事を進めることで、「坂本さんは相談しやすい」と言われることが増え、変化を感じています。
その1 坂本さん
~トップダウン文化に新風を吹かせる。他人を信じ協働できるように~
NCC長崎文化放送 坂本さん
MCで学んだことを基に横断チームのアイデアを社長にシェアし、新部署の立ち上げに成功しました。評価制度の整備によりモチベーションが向上し、新たなチームが動き出しています。今後も業界全体の課題解決に取り組んでいきたいです。
MCを通じて世の中の複雑性を理解し、他人を信用して協働する姿勢が身につきました。いい意味で自分の脳を信じなくなったとも言えます。社内でも受講者を増やすことで共通言語を持つ仲間を増やし、さらなる革命を起こしていきたいです。
その2 松本さん
~脳に汗をかく体験で思考がクリアに。法律文章の理解が深まった~
株式会社チョープロ 松本さん
Managing Complexityの学びは、現在の仕事における重要な指針となっています。「こんなに脳が汗をかくことを今まで知らなかった」と感じました。10週間の学びで、断片的な知識を体系的に整理し、明確に伝える能力が向上しました。
10週間で特に印象に残っているのは、「System Decomposition(システム分解)」の学びです。以前はとりとめもなく考えていたことを、登場人物の洗い出し、ズームイン・ズームアウトで思考する手法を学ぶことで、視界が大きく広がりました。
さらに、思考の解像度が上がったことで、法律の文章を読めるようになったことも大きな収穫です。私の業界ではエネルギー関連の規制など難しい法律の文章に対峙することが多いのですが、その読解力が向上し、文章が伝えている内容を分解して理解する能力が身につきました。まるでピントが合うように、内容が明確に見えるようになったので驚いています。
6月からは新規事業を手掛ける部署へ異動し、MCの最終課題で描いていたゴールを具体化する場が整いました。評価制度にも手を入れて進めていく予定です。
その3 内田さん
~自分のバイアスを知り、人の行動の背景を想像する力が身についた~
MCは、科学的根拠に基づく説得力のあるプログラムでした。リーダーシップ研修ではよく聞く「結局はコミュニケーション」という結論に疑問を感じていた私にとって、MCのアプローチは新鮮でした。システム思考やシステム分解の概念を学び、多角的な視点を持つことの重要性を理解しました。
特に、感情コントロールに対する新たな理解と取り組み方を得ることができました。以前は感情に振り回されやすく、特にストレスやプレッシャーがかかる状況では、冷静さを保つのが難しいと感じていました。しかし、MCでは自分のバイアスに気づくことや他者に共感を示すことが強調され、自分の感情を客観的に見つめ直すことを毎回のケーススタディやディスカッションを通じて体得することができました。
オーシャンソリューションテクノロジー株式会社 内田さん
最も頭に残っているのは「相手にも、そうさせている理由がある」というキーワード。これまでは相手の不可解な行動もすべて、自分のものさしでジャッジしていたことに気づかされました。MCで扱っている内容はすべて科学的根拠や十分な研究がベースにあるため、これまでの自分の価値観にメスを入れやすかったです。一度立ち止まり、全体を俯瞰してみる、自分の感情にラベルを付ける、ということを日常の中で活かせるようになったと実感しています。
管理職になると仕事の仕方について指摘してもらえる機会が減るので、このように自分の弱さに正面から向き合えるような時間は貴重でした。一緒に受講した方々はみな志が高く、定期的に集まれる仲になっている点でもいい刺激を得られる経験でした。
最後に、今後の展望をお聞かせください。
村上氏:MCの導入によって、長崎県の起業家育成と地域活性化に向けた新たな一歩が踏み出されました。この取り組みがさらに広がり、多くの人々の成長と地域の発展に繋がることを期待しています。今後も継続的にMCを実施し、地域全体のリーダーシップ力を強化していきたいと思います。
長崎県のMC導入は、地域の課題解決に向けた新たな取り組みとして注目されています。これからもその成果が期待されるところです。
2024年6月